背中が痛い原因
大動脈解離
大動脈解離は、大動脈の内部層が剥離し、血液がその間に入り込む状態を指します。進行すると、大動脈が膨張し、破裂する可能性があり、命にかかわる危険性が高まります。突然、強い胸痛や背中の痛み、失神、呼吸困難などの症状を引き起こします。高血圧、動脈硬化、大動脈瘤などがリスク要因になります。治療は緊急の手術が必要であり、遅れると致命的な結果につながることがあります。
大動脈瘤
大動脈瘤は、大動脈の壁にできる拡張性の異常であり、徐々に膨張して大きくなります。一般的には無症状で進行しますが、進行すると、胸や背中の痛み、特に背中に沿った鈍い痛みが現れることがあります。これは瘤が周囲の組織や神経を刺激するためです。大動脈瘤が破裂すると、内出血や致命的な出血を引き起こす可能性があります。主な原因は高血圧や動脈硬化になるため、生活習慣を見直すことが重要です。
急性膵炎
急性膵炎は、膵臓に突然炎症が起こった状態です。主な原因は、がんや胆石、アルコールの過剰摂取などです。症状には、激しい上腹部の痛み、吐き気、嘔吐、発熱があり、背中の痛みが見られることもあります。治療は、絶食や静脈内栄養、痛みの管理などになります。再発を防ぐために、アルコールの制限や健康的な生活習慣の維持が重要です。検査としては、CT検査を行っていきます。
気胸
胸痛は、やせ型の若年男性に頻繁に見られる病気の一つですが、肺気腫や気腫性嚢胞(ブラ)など呼吸器疾患を持つ中高年者にも見られることがあります。突然の胸痛と息苦しさを伴い、深呼吸をすると痛みが増し、症状が継続します。喫煙者に多い傾向があります。CT検査を行い診断を行います。
尿路結石
尿路結石は、尿路内に結晶化した物質が堆積し、石を形成する状態を指します。主な原因は、尿中の塩分濃度の変化や水分不足、食生活の影響などになります。結石が尿管を通過する際に、激しい腹部痛、側腹部痛、腰部痛、そして背中の痛みを引き起こします。その他、血尿や頻尿、排尿時の痛み、吐き気などもあります。尿路結石は自然に排出されることもありますが、大きな結石や合併症のある場合は治療が必要となることがあります。治療には、痛みの管理や結石の排出を促進するための薬物療法、または超音波破砕や手術などの方法があります。当院では、CT検査にて発見した尿路結石を状態に応じて適宜連携する泌尿器科へ紹介させていただきます。
椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症
骨と骨をつないでいる椎間板にヒビが入り、中の椎間板組織の一部が飛び出して神経を圧迫することで起こる疾患です。
代表的な症状は、首から背中、腰にかけての痛みやしびれ、足の指のしびれ、坐骨神経痛と呼ばれる片足の甲の痛みやしびれなどです。
若い人にもわりと多く発症し、動くと背中や腰、足に強い痛みや攣りが生じて動けなくなる場合もあります。
頸椎捻挫(けいついねんざ、むち打ち症)
むち打ち症とも呼ばれるもので、車の追突やスポーツ中の激しい衝突により、首が後ろに投げ出されて頸椎が捻挫している状態です。
首が動かしにくかったり、首や肩が痛くなったりといった症状が起こります。
重症の場合、痛みが治まっても頭痛、吐き気、耳鳴り、倦怠感などの後遺症が残ることが多い。
変形性脊椎症
変形性脊椎症は、長年の負担により椎間板が変性し、神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで起こります。
安静時には症状が軽いことが多いですが、歩き続けると下肢にしびれや痛みが生じ、動けなくなる場合もあります。
歩行を止めて休息すると症状が和らぎ、再度しばらく歩くとまた悪化するのが特徴です。
骨粗しょう症
骨粗鬆症は、骨量が減少して骨密度が低くスカスカになり、毎日のちょっとした動作で小さな骨折を起こしやすくなったり、自身の体重を支えきれずに圧迫骨折を容易に起こしたりする疾患です。
脊椎がもろくなることによって、脊椎を構成する骨が変形や骨折を起こし、神経を刺激したり圧迫したりするため、動くたびに痛みが生じ、悪化すると立ったり座ったりすることすらできなくなります。
帯状疱疹(帯状ヘルペス)
帯状疱疹は、体内に潜伏していた水ぼうそうウイルスが再活性化することで発症します。
胸の片側の肋間神経に沿って、小さくて強い痛みを伴う水疱が現れます。
水疱は腹部や背中にも現れることがあります。
水疱は約3週間程度で治りますが、帯状疱疹が治った後も背中や胸、顔に神経痛が残る場合があります。
背中が痛いのは狭心症のサインのこともある?!
狭心症はしばしば心臓から離れた部位に症状を引き起こします。「関連痛」は、奥歯、のど、肩、腕、みぞおち、背中などに感じることがあり、人によっては肩こりや胸やけとして感じることもあります。狭心症の関連痛は、主に体の上半身、多くは体の左側に起こるのが特徴です。
背中の痛み解消法・予防法
背中を冷やして炎症を抑える
激しい運動で背中が急に痛くなった直後や、痛む部分が熱を持っていたら冷やしましょう。
冷却パック、エアゾール剤、冷却ハップなどの使用をおすすめします。
背中を温めて血行を良くする
背中が痛くなった直後は、炎症を抑えるために背中を冷やしますが、炎症が鎮まったら、ホットパックや使い捨てカイロなどで背中を温めて血行を良くし、回復を促します。
温水にゆっくりと長時間かけて浸かり、患部をよく温めるのも効果的です。
慢性的な腰痛を和らげたい場合も、温めて血行を良くすることが効果的です。
姿勢に注意する
調理台やアイロン台など、長時間同じ姿勢で立っている場合は、前屈みにならないように補助台を置くなどして、ご自身に合う高さに調節するようにしましょう。
例えば、デスクに座ってパソコン作業することが多い方は、椅子に深く腰掛けて背筋を伸ばし、膝と足首の角度が90度になるように椅子の高さを調節しましょう。
また、寝るときに高すぎる枕も背筋に負担をかけるので注意しましょう。
肩や背中の筋肉を鍛える
日頃から腹筋や背筋を鍛えるようにしましょう。
仰向けに寝た状態で、折りたたんだタオルを腰の下に敷き、自転車をこぐように足を空中で回転させると、腹筋と背筋を同時に鍛えられます。
ただし、痛みが強い場合は決して無理して行わないことが重要です。
一定の間隔でストレッチする
長時間立っていたり座っていたりすると、背中の筋肉が緊張して硬くなり、こりを感じます。両手を頭の上に上げて体を伸ばしたり、肩や首を回したりといった簡単なストレッチを数時間おきに行うと、筋肉の緊張がほぐれるので、継続的に行いましょう。
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる。
40℃前後のぬるめのお湯にゆっくり浸かると、血行が促進され、筋肉の疲れや背中のコリが改善されます。
入浴中に背筋を伸ばすと、さらに血行がよくなります。